医療法人 好輝会 梶本クリニック

学術報告

2023.06.16
第68回 日本透析医学会学術集会
降下型避難機器UDエスケープWithの導入

発表風景 【背景】
2021年の「わが国の慢性透析療法の現況」によると、全透析患者数の約37%が75歳以上である。当院における全透析患者114名(令和5年4月現在)の平均年齢は75.8±11.0歳で、75歳以上が61%(内、90歳以上が9%)を占めており、高齢者が全国割合よりも多い。さらに、14%(16名)の患者が脳血管疾患の既往があり、今後、認知機能低下など移動困難者の増加が懸念される。
当院では災害対策委員会を設置し患者参加型の避難訓練の実施、災害時マニュアルの定期的な見直し、勉強会の実施・参加など災害防災意識を高く保つ努力をしているが、高齢者やADLの低下した要介護者を安全且つスムーズに階下へ避難させることは、時間や労力を要するため課題の一つであった。

【目的】
2022年12月に新規開設した当院では、電力、動力を用いずに要介護者を車椅子に乗せたまま単独または介助者と共に階下へ避難させることができるナカ工業社製降下型避難機器UDエスケープWithを国内で初めて導入した。
安全性や操作性について、既設のイーバック+チェア・インターナショナル社製階段避難機器イーバックチェアと比較を行ったので報告する。

【対象/方法】
① 全職員25名に対し、患者の代役とした職員を2階透析室から1階フロアまでUDエスケープWithとイーバックチェアにて、それぞれ避難させた時間の計測と比較アンケートを実施した。
② バイタルが比較的安定しており本研究協力の同意を得られた患者30名に対し、UDエスケープWithによる降下避難体験とアンケートを実施した。

【結果】
① 一人当たりの平均避難時間はUDエスケープWith44.2±6.3秒、イーバックチェア59.8±14.4秒であった。「イーバックチェアと比べてUDエスケープWithは安全だと思いますか?」という職員アンケートでは、92%(23名)が安全だと思う(安全76%:19名、やや安全16%:4名)と回答した。操作性については、全職員25名がイーバックチェアより操作しやすいと回答した。
②「災害への備えとして安全だと思いますか?」という患者アンケートでは、93%(28名)が安全だと思う(安全83%:25名、やや安全10%:3名)と回答した。「降下の際に怖さを感じましたか?」については、68%(17名)が怖くなかったと回答したのに対し、20%(5名)が怖さを感じた(少し怖い16%:4名、怖い4%:1名)と回答した。

【考察/まとめ】
UDエスケープWithは安全且つ操作が簡便で、高齢者やADLの低下した要介護者の避難にかかる時間の短縮および労力を軽減させることができる。
今後も高齢者や要介護者の増加が見込まれることから、災害の状況に応じた避難選択ができるようUDエスケープWithだけでなくイーバックチェアなど、他の避難機器も準備併用しておくことが望ましいと考える。また、患者や職員の安全を確保するためには、いつか起こりえる災害に備え、冷静かつ迅速な行動ができるよう日頃からの準備や訓練が必要だと考える。


当院でのSDGsの実践 ~排熱回収型空冷ヒートポンプシステムの使用経験~

発表風景 【目的】
当院では、空気から熱回収を行うヒートポンプに加え、透析液排液およびRO装置濃縮水の排熱を原水昇温に利用する排熱回収型空冷ヒートポンプシステムを2017年1月より導入し、今回、本システムの節電節水効果について評価したので報告する。
【方法】
本システム導入前後1年間の施設電気使用量および水道使用量を比較した。また、データ収集し得た2019年8月から2022年8月までの3年間の熱交換器およびヒートポンプ設備の供給熱量と使用電力を集計し、供給熱量分をRO装置の電気ヒーターで加温した場合の電力量試算と比較することにより設備の電力削減効果を評価した。

【結果】本システム導入前後で月当たりの平均電気使用量は3831kWh/月、平均水道使用量は37㎥/月と有意な削減効果がみられた。RO装置の電気ヒーター使用電力削減効果はCOPが6.4、削減率が84.4%であった。

【結論】
排熱回収型空冷ヒートポンプシステムは節電節水に有用でありSDGsに寄与する。

(令和5年6月16日、於:神戸コンベンションセンター、兵庫県)

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